logo Go back

Rubber Sole:GEOLANDAR A/T G015

2017.04.29
YOKOHAMA(横浜ゴム)

10年の歳月を経て進化を遂げた「ジオランダーA/T G015」


ヨコハマタイヤの4×4・SUV専用ブランド「ジオランダー」が今年、誕生20周年を迎え、その代表的なモデルであるAT(オールテレーン)タイヤがフルモデルチェンジを遂げた。 「ジオランダーA/T-S」から、新しい「ジオランダーA/T G015」へ。その進化のほどを、しかとお届けしよう。
取材協力:さなげアドベンチャーフィールド
(文章:高坂義信/写真:浅井岳男/映像:佐久間清人)
http://www.y-yokohama.com/product/tire/geolandar_atg015/

 

 

ブランド誕生20周年、そして代表的モデルであるAT(オールテレーン)タイヤの「ジオランダーA/T-S」が登場して10年。ヨコハマタイヤ「ジオランダー」にとって何かとアニバーサリーな年となった今年’16年、その「ジオランダーA/T-S」が「ジオランダーA/T G015」へと進化することになった。
 
ATタイヤといえば、純正タイヤの持つオンロード&オフロード、オールマイティーな性能を、そのままグレードアップさせたようなキャラクターだが、新しい「ジオランダーA/T G015」はこれまで以上にオンロードの快適性や静粛性を向上。加えて耐久性やオフロード性能、浅雪性能といった4×4・SUV専用タイヤに求められる項目も向上を果たし、アクティブなライフスタイルを楽しむ、より多くの4×4・SUVユーザーにアピールすることになった。
 
進化のポイントは3つ、まずそのコンパウンドだ。機能の異なる3種のポリマーをブレンドした”トリプルポリマー”により耐摩耗性や低温下でのしなやかさ、耐久性をトータルで向上。また”オレンジオイル”や”シリカ粒子分散化”技術によって、ATタイヤにふさわしいウェット路・ドライ路でのグリップ性能も高いレベルで実現されることになった。
 
さらに第2の進化のポイントは、新しいタイヤ構造と専用プロファイルを開発したこと。”ワイドトレッドプロファイル”によりタイヤの接地性を最適化、ワイドトレッドの下部には幅広の”ナイロンフルカバー”を装備してトレッド部への衝撃を受け止めながら、高い耐久性をも実現。サイド剛性もしっかり確保されることで、操縦安定性の向上にも寄与しているのだ。
 
そして3つめのポイントは、専用の”アグレッシブトレッドパターン”を採用したこと。センターに近いほど狭く、ショルダー接地端に近いほど段階的に広くなり、強力のトラクションを生み出す”マルチブル・ラググルーブ”。3段ピラミッド状の立体サイプがブロックの倒れ込みを防ぎ、高い剛性とウェット路でのエッジ効果に貢献する”3Dサイプ”などを採用し、従来からのオフロード走破性とスノー性能に磨きをかけた。また”新ピッチバリエーション”を採用したことで、パターンノイズの低減にも成功している。
 
ちなみにトレッドパターンについて、今回の「ジオランダーA/T G015」はベースは同じだが、PC(パッセンジャーカー=乗用車)サイズとLT(ライトトラック)サイズで使用用途に合わせてチューニングされた結果、若干異なっているのも特徴だ。

 

異なるふたつのパターン〜PCサイズインプレッション
今回は同じ「ジオランダーA/T G015」でもキャラクターの少々異なるPCサイズとLTサイズ、それぞれを試してみることになった。まずPCサイズを装着したのは、デリカD:5クリーンディーゼル。PCサイズは日本国内向け車両の純正サイズに準拠して、本格4×4や、小型〜大型SUVをも網羅するラインナップ。D:5には純正の225/55R18よりリム径をインチダウンした235/60R16を装着、ただし外径はほぼ同じだ。
 
オンロードは純正タイヤと比べても、かなりソフトライド。サイドウォールが柔らかく、ショルダーとトレッドの部分でしっかり感を得ている印象だ。コーナーもタイヤサイドのハイトが高くなっているものの、重心の高いD:5の挙動をしっかり抑え込んでくれる。S字のような切り返しも姿勢がピタリと決まり、オンロードタイヤとしてのレベルアップも間違いなく感じられる。パターンノイズは従来のA/T-Sより明らかに静かだ。
 
一方、オフロードでは、ガレ場のような荒れた路面でも突き上げをうまくいなし、快適な乗り心地を提供してくれる。グリップも安定していて、河原などの石に対する食いつき、マッディな路面でのグリップ、ともに従来以上だ。静粛性の高いパターンにも関わらず、意外なほどのトラクションの強さに驚いた!

 

LTサイズインプレッション
続いてLTサイズの「ジオランダーA/T G015」。こちらは50㎜リフトアップのランドクルーザー・プラド(JAOSデモカー)と、ノーマルのJeep JKラングラーで試乗。サイズはプラドにLT265/70R17、JKにLT245/75R17を装着している。
 
LT規格のタイヤ、ということで、耐荷重を示すプライ(PR)数は、両タイヤとも10PR。2トン積み貨物車にも対応しそうな頑丈さだが、オンロードの乗り心地はしっかりとコシがあり、硬さはまったく感じない。むしろ路面の継ぎ目のギャップなど、しなやかにいなしてくれて、個人的にはPCサイズよりこちらのほうが疲れにくい印象があった。コーナリングもハイトの高いタイヤながら、筋肉質なイメージがあり、挙動をきっちりコントロールしてくれる。ステアリングアクションに対するロールの始まり方、リヤの踏ん張りなどは、従来のA/T-Sより明らかに安心感がある。
 
そして圧巻はオフロード。ガレ場の走行は従来のA/T-Sなら少なからず硬さを感じたシーンだが、今回のG015はただただしなやか。アクセルを強めに開けての発進など、試してみたが、路面を捉える力、蹴り返しの力なども頼もしい限り。一昔前のMT(マッドテレーン)タイヤ以上のトラクションの強さを感じた。さらにマッディな路面のモーグル走行など、しなやかなトレッドが泥に食い込むようにタテ、ヨコにトラクションを発揮する。はっきり言って現存のMTタイヤと十分、勝負になる、と思う。
 
PC、LT両サイズどちらにしろ、4×4・SUVが持っている、本来のオールマイティーさを取り戻してくれるタイヤ……今回の試乗で「ジオランダーA/T G015」は、そんなタイヤであると証明してくれたのだ。

 

リフトアップ・カスタムを施したJAOSプラドには、LT265/70R17を装着。なお同サイズのPCサイズもラインナップし、純正の265/60R18サイズも選択可能。高速道路の走行では、従来のA/T-Sより当たりが柔らかく、パターンノイズも極めて小さい。PCパターンとの差もあまりないようだ。

 

深くえぐれた、柔らかい土のヒルクライム。プラドには、アクティブトラクションコントロールというLSD的な働きをする電子デバイスが装着されていたが、タイヤのスリップをさほど感じないうちにそのデバイスが効いて、力強く路面を噛んで登っていく。
タイヤとデバイスとの相性の良さを感じた。

 

たおやかな乗り心地で街乗りを快適にこなす。とても10PRのLTタイヤとは思えないほどだ。コーナリングも筋肉質!? というか、ロールポイントが高く車重のある4×4の挙動を抑えこみ、安定した走りを提供してくれる。

 

マッディな路面のモーグル走行はJKのような本格4×4最大の見せ場だが、G015はいかんなく、その走りをサポート。しなやかなトレッドは路面に刺さるように食い込み、強いトラクションを生んでくれる。タテ方向だけでなく、ヨコ方向にも踏ん張ってくれるので、クルマが斜めになった状態でも、いきなりヨコにズレてしまうこともなかった。MTタイヤとも勝負になる!

 

デリカD:5にはPCサイズの235/60R16サイズを装着。サイドウォールの柔らかさゆえか、純正に比べてもかなりソフトライドな印象。それでいてコーナーなどではロールポイントの高いD:5の挙動をしっかり抑え込んでくれる。高速道路でのパターンノイズの小ささは純正をしのぐほどだ。

 

ダートに入ってもオンロードで感じたソフトライドな印象はそのまま。柔らかいサイドが衝撃を受け止め、その反動をトラクション能力に優れたトレッドに伝え、安定したグリップを得ている、そんなイメージだ。

 

キャラクターからしてもハードなシチュエーションは試せないが、岩などではサイドの柔らかさを生かし、トレッドがまとわりつくようにグリップ。泥も、LTパターンがトレッドを刺すイメージでグリップするのに対し、こちらPCパターンは転がりながらトラクションを稼ぐイメージだ。

 

今回の「ジオランダーA/T G015」はLT325/60R20〜195/80R15まで、計42サイズをラインナップ。
特徴的なのはPC(乗用車)パターンとLT(ライトトラック)パターンで用途/サイズに合わせて、いずれの規格も選択できるサイズも存在するということ。
 
とくにLTサイズは高荷重に配慮したチューニングで、ブロック1つ1つが大きく、ショルダーもエッジが効いたものに。主要サイズにはアウトラインホワイトレター仕様も採用。リフトアップ車にも選びやすいサイズが揃っている。
 
ちなみに耐摩耗性の指針となる「TREADWEAR」は、いずれも600の表示。従来の「ジオランダーA/T-S」が500だったので、長持ち性能もしっかりアップしている、ということだ。