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Rubber Sole:BRIDGESTONE DUELER H/L 850

2017.05.01
BRIDGESTONE(ブリヂストン)タイヤメーカー

ロープロファイルでも静粛&快適!


同機種のタイヤであってもサイズによってキャラクターは微妙に変わる。
であれば、過去のテストで好印象だったタイヤでも、異なるサイズの場合はどうなんだろう…。
そんな疑問に答えるべく、今回は、過去、静粛性や乗り心地、燃費の面で評価の高かったSUV用タイヤ「デューラーH/L850」のロープロファイル・タイプをテストしてみた。

(文:内藤知己/写真:山岡和正)

 

テストフィールド:ハイウェイ
テストピースのデューラーH/L850、軽ジムニー等の175クラスから大型SUV用の275クラスまでカバーするという豊富なラインナップも魅力的なSUV専用タイヤ。
 
H/Lは”ハイウェイ・ラグジュアリー”を意味し、静粛性の向上と低燃費を主眼に置いて開発されたタイヤである。
 
今回テストしたのは、シリーズ中最も低い扁平率を持つサイズの中で最大となる255/55R18。このサイズを標準とするVWトゥアレグV6にこれを装着し、舗装路面での試乗テストを行った。
 
車重がヘビー級であることに加えて、VW社のハイエンドSUVとしての走行性能はもちろん、この手の高級車ではことさら重要視される静粛性、乗り心地にも非常に高いレベルが要求される、極めてハードルの高いテストと言えるだろう。
 
一般的に、扁平率の低いタイヤは、サイドウォール幅が狭くなる分、ケース剛性が高まるが、空気容積は少なくなるため乗り心地が悪くなる…というのが定説。
 
しかし、このデューラーH/L850の場合、ゴツゴツ感が全くなく快適そのものだ。舗装の継ぎ目や修理痕の上を通過する際も、それを確実に吸収するサスペンションの性能をキチンと活かしてくれる印象である。
 
ハイウェイ走行では、直進性も良く極めて快適。昨年末に同機種の225/65R17サイズをテストした時も感じた”あらゆる速度域で静か”という印象に変わりはなく、ロープロファイルタイヤにありがちな低音域の唸るようなノイズも発生しない。
 
これは、主にトレッドのショルダー部分に刻まれた長短の横溝(ショート&ナロースロット)配置の効果によるもので、横溝(ラグ)に高い傾斜角度を付けて接地性を向上させたハイアングルラグとともにパターンノイズの発生を抑制している。

 

テストフィールド:ワインディング
続いてワインディング路へ。一般道やハイウェイでは、55%扁平のロープロファイルタイヤとは思えないしなやかな乗り心地であったため、コーナリング時の剛性に問題が無いのかという懸念があったが、これは全くの杞憂だった。
 
テストピースは、55%扁平らしいコーナリング中の”踏ん張り”を見せ、トゥアレグの優秀な脚、前後コイル+ダブルウイッシュボーンの実力を見事に引き出した。
 
しなやかながら変形量の少ないサイドウォールと、これまたしなやかなトレッドブロックがしっかり路面を捉え、終始安定したコーナリングが可能だ。
 
かなりの高速コーナーでも不快なスキール音は発生せず、グリップ限界は非常に高い。また、ステアリング操作に対するレスポンスが良く、常にダイレクトな反応が伝わってくる感じだ。
 
コーナーで重いボディーがロールし、それが戻る瞬間もごく自然な挙動を保てるのは、収束能力の高いサスの性能を、このタイヤが引き出しているおかげと言える。

 

これはSUV版「REGNO(レグノ)」だ!
ちなみにこのデューラーH/L850のトレッドパターンは、トレッドの中心から外側にかけてブロックを大きくしていくことで剛性分布が最適化され、偏摩耗の抑制や乗り心地の向上が図られている。
 
そしてさらに、各ブロックを縦溝に寄り添う形に配置することで、接地圧を均一にし、転がり抵抗を低減させ、低燃費化も図られているのだ。
 
SUVなんだから、スポーツカーのようにガチガチにタイトな脚まわりで乗り心地を犠牲にしたくはない…でも、実質的にはスポーツサルーンにも匹敵するようなスペックは活かしたい!
 
そんな矛盾に悩むプレミアムSUVオーナーには、ぜひこのデューラーH/L850を試していただきたい。
 
ヘビー級ボディーをしっかり支える高性能サスのパフォーマンスを確実に活かせるロープロファイルタイヤなのに、乗り心地も静粛性も燃費も犠牲にしていない…。
 
ブリヂストンには、上質な乗り心地、静粛性、卓越した運動性能の全てを高次元でバランスさせた乗用車用タイヤとして知られるブランド「REGNO(レグノ)」があるが、デューラーH/L850は、まさにSUV版REGNO(レグノ)とも言うべき高次元タイヤと言えるだろう。

 

各ブロックに交錯する3D形状ブロックを配置し、周方向の剛性差を抑制することで乗り心地を向上させている。
また、トレッド中央から外側にかけて配置するブロックを大きくしていき、剛性分布を最適化することにより、センター部の偏摩耗を抑制する。

 

各ブロックを縦溝に寄り添う形に配置することで、接地圧を均一にして転がり抵抗を低減させ、制動力の向上も図られている。また、長短のショルダー溝の最適配置により、騒音の発生を抑制している。

 

テスト車両にはフォルクスワーゲンのハイエンドSUVであるトゥアレグを起用。3.6リッターV6・DOHCガソリンエンジン搭載モデルの標準タイヤサイズでテストを実施した。しなやかな中にもカッチリとした乗り心地のサスペンション設定は、H/L850との相性も良く、前後コイル+ダブルウイッシュボーンの実力を活かせる組み合わせだった。