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OPEN COUNTRY R/T

2017.04.29
TOYOタイヤ(トーヨータイヤ)タイヤメーカー

見た目はタフで走りはジェントル、オープンカントリー復活!


セダンなどの乗用車に較べると格段に走行可能ステージの守備範囲が広いSUV。したがって、タイヤに求められるマルチ性能のハードルも当然高くなる。今回は人気の軽ワゴン/クロカン4×4向けに発売され、高評価を得ているトーヨータイヤの「OPEN COUNTRY R/T(オープンカントリー アールティー)」を装着したジムニー660で、1DAYツーリングに出かけた。
文/内藤知己、写真/川上博司、取材協力/APIO
【ホームページ】
http://toyotires.jp/catalog/oprt.html

 
新ジャンルのタイヤの登場
「オープンカントリー」と聞いて、おやっ?と思った人は、かなりベテランの四駆乗りだろう。そう、これはかつて「第1次4×4ブーム」と言われた1980年代から既にトーヨーのクロカン4×4向けタイヤに使用されていた名称だからである。「OPEN COUNTRY」はその後、北米を中心とした海外マーケットでは大型SUV/ピックアップ用タイヤとして存続してきたものの、日本国内では新車装着パターンのみでの展開となっており、今回久々に補修用として復活を果たした、というかっこうだ。
 
ただし、復活と言ってもそれは名称の話であって、もちろん製品自体は最新技術が投入された全く新しいタイヤ。アウトドアを楽しむ軽自動車ユーザーの増加に着目し、新たに開発されたタイヤである。
 
「オンとオフを兼ねる新ジャンル」というテーマのもと、オフロードにおけるトラクション性能とオンロードで求められる走行安定性を両立させ、さらに耐摩耗性の確保も図られたタイヤ…これが新製品「トーヨータイヤ・オープンカントリーR/T」だ。
 
ちなみにR/TとはRugged Terrain(ラギッド・テレイン=凹凸地形)を意味するもので、A/T(オールテレイン)とM/T(マッドテレイン)の中間を充足する新ジャンルを目指したという。

 

トレッドパターンは、イラストで示されているとおり、左右両端およびショルダー部分に強力なトラクションを生むM/Tタイプのラグパターン・ブロックを配置し、中央部分には回転方向の剛性を高めたA/TタイプのL字型連結ブロックを配置、という“ハイブリッドデザイン”を採用。見た目の印象としては、ショルダー部の溝面積が大きくセルフクリーニング性が高そうで、サイプが少なめのブロックは剛性も高そうだ。
 
また、全てのブロックの回転方向に小さな段差が設けられており、このエッジ成分が強力なトラクションを生みそうだ。センター部分のL字型ブロックを向かい合わせたパターンも剛性を高めるのに効果的な配列と言える。
 
ご覧のとおり全体的にはアグレッシブな印象のデザインであり、4×4タイヤらしいタフな外観だ。サイズは185/85R16、試乗用車両はジムニー660で、それも、高品質なジムニー専用パーツやコンプリートカスタムモデルで定評のあるAPIOが手掛けたAPIOジムニーに装着し、ひとっ走りツーリングに出かけた。なお、この日はアピオの河野社長にもご同行いただき、オン・オフとりまぜて、楽しみながらの試乗ツーリングとなった。
 
試乗用車両のAPIOジムニーTS4は、約60mmアップコイルと減衰力14段階調整式ダンパーを組み合わせたサスペンションチューニングを施されたスペシャルバージョンだが、「オンオフこなすマルチプレーヤー」というコンセプトで造られており、このタイヤにはもってこいのクルマ。185/85R16というサイズの相性も非常に良く、見た目のバランス、タフな外観とも絶妙にマッチしている。重要な機能パーツであり、消耗パーツでもあるタイヤと言えども、クルマの外観の印象を大きく左右するドレスアップ要素は重要なのだ。

 

TEST STAGE :オンロード
まずは普通に街中を走り、高速道路へ向かう。ジムニー660のパワー&トルクに対してムリのないサイズであり、加速性能やブレーキ性能にも悪影響を及ぼさない良いサイズだ。
 
乗り心地は意外に柔らかく、走行ノイズも一般的なA/Tタイヤレベルに抑えられている。実は最初に見たとき、“オンオフ両立”を謳っているわりにはアグレッシブなトレッドパターンと、剛性の高そうなトレッドブロックが、M/Tタイヤレベルの派手なパターンノイズとゴツゴツした乗り心地を予感させたのだが、実際にはそれらの不快な現象は一切なかった。河野社長も最初は同じ懸念を持っていたようで「これ、見た目とは違って静かだし、乗り心地も快適なんですよね」と、高評価だ。
 
高速道路では、それなりのノイズは出るが、やはり静かめなA/Tレベル。直進性にも全く問題がない。
 
試しに急な車線変更を試みるが、これも問題なし。85%扁平ということで、一般的な50〜60%のタイヤと較べれば多少のヨレは瞬間的に感じるが、操安性に大きく関わるほどのレベルではない。快適性に関しては、純正タイヤに見劣りしない性能が確保されていると言って良いだろう。
 
高速道路を降りると、やがて道はワインディング路に。車高が約60mmアップしているAPIOジムニーだが、コーナーでの安定性は確保されており、ロールは多めだが収束性が良く不安がない。ここでもR/Tはしっかりと踏ん張り、APIOジムニーのしなやかな脚をキチンと機能させる。高速での急な車線変更でもそうだったように、タイトコーナーでは一瞬タイヤのヨレを感じるものの、85%扁平という空気量の多いサイズのおかげでソフトな乗り心地を確保しているようだ。

 

「乗り心地に関しては、良い意味で予想を裏切ってくれましたね。コーナーではハンドリングが素直で扱いやすいから、このジムニーのサスペンションの良さが引き出されている感じです」と、河野社長はAPIOジムニーとの相性の良さに惚れ込んだ様子。
 
トレッドは見た目どおり剛性が高く、アスファルトへの喰い付きも良好。河野社長の言葉どおり、素直でコントロール性に優れた特性と言える。ここでも、アグレッシブなツラ構えとは相反するしなやかな乗り心地に感心させられる結果になった。
 
コーナリング性能に触れるインプレッションをお伝えしていると、緊迫した空気のテスト走行を想像させてしまうかも知れないが、実際は、ソフトな乗り心地と安定した走りが可能なため、自然と快適でリラックスしたドライビングになり、終始のんびりとツーリングを楽しめた。

 

TEST STAGE :DIRT
最後にフラットダートの林道に立ち寄る。天候に恵まれ、泥濘地がなかったため、泥捌けの良さそうなトレッドパターンの効果は検証できなかったが、滑りやすい浮き砂利のフラットダートでもしっかりグリップし、ステアリング操作やアクセル操作がきちんと“効く”フィーリングは、かなり好印象。河野社長も「接地感があって安心できる。ブロックの角がしっかり地面に喰い付いてる感じが分かりますよ」と、これまた高評価であった。
 
河野社長によれば、この日のタイヤ空気圧は前後とも高速走行に備えてやや高めに設定していたとのことで、これを160kPaほどに下げれば、さらにグリップ性能や乗り心地を体感できるのでオススメとの事。

 

現在、このオープンカントリーR/Tは、今回のサイズ185/85R16と、同じく軽ワゴン用サイズである165/60R15の2種類で展開中だが、この特性を活かして、ぜひとも小型車のコンパクトクラスから大型SUVサイズまでラインナップの拡大に期待したい。
 
見た目はタフでアグレッシブなオフロードデザインながら、乗ってみるとしなやかで快適、静粛性もA/TタイヤレベルなオープンカントリーR/T。既存のA/Tでは物足りない、でも普段使いでM/Tはちょっと…そんなユーザーにはお試しの価値120%あり!の要注目タイヤである。

 
●TOYO OPEN COUNTRY R/T
185/85R16 105/103L LT
165/60R15 77Q
価格:オープン

 
【APIO JIMNY】

今回のテスト車両は、APIOジムニー。目的や予算によりタイプが選べるオリジナルカスタムジムニーで、いずれも高品質パーツで構成された完成度の高いコンプリート車だ。

 
装着ホイールはAPIOオリジナルのWILDBOAR Z(ワイルドボア ゼット)。
サイズは5.5Jx16(+20)。

 
APIOhttp://www.apio.jp/