AT(オールテレーン)としてオフロードを含めたマルチパーパスさは維持しながら、オンロード性能を飛躍的に高めたのがグラントレック・シリーズの最新モデル「AT3」というタイヤだ。
デザイン上の特徴は、トレッド中央を一直線に貫くストレートセンターリブ。その左右にあるミドルブロックと連結することで高い剛性を確保し、高速走行時の操縦安定性を高める狙いだ。ショルダー部分もふたつのブロックを連結しながら細かなサイプを入れることで、静粛性としなやかな乗り心地を両立する工夫が施されている。
オンロード走行時のフィーリングは、オンロード専用タイヤに迫るスムーズさだ。走り出し直後のゴロゴロ感が一切なく、速度を上げていってもロードノイズ&パターンノイズは全く気にならない。直進性の高さも秀逸。比較的ソフトな乗り心地で、しなやかなブロックが細かな路面の凹凸を巧みにいなしてくれる。SUVの一般的なOEタイヤよりもずっとアグレッシブなトレッドパターン、そしてオフロード走行を考慮した特性を持つにもかかわらず、ATタイヤであることを意識することがないのである。
ワインディングでもAT3の非凡さを体感できる。前述したように市街地走行ではソフトな乗り心地を提供してくれるが、コーナリングで荷重がかかっても腰くだけ感は皆無。ステアリング操作に対してレスポンス良く回頭してくれる。しなやかさと高剛性を両立する器用さは、デジタイヤでお馴染みとなったシミュレーション技術の賜物だろう。
しかし、このタイヤが目指しているのはオンロードでのパフォーマンス向上だけではない。転がり抵抗を減少し、さらに偏摩耗の抑制することで「低燃費」と「長寿命」を実現しているのがもうひとつの魅力。パフォーマンスとエコ性能を両立しているからこそ、画期的なのである。
豊富なサイズラインナップを揃えるが、扁平率60・65・70・80シリーズはレイズドブラックレター(215/80R15を除く)、扁平率75シリーズはアウトラインホワイトレターとなる。
センターブロックを周方向につなげ、さらにミドルブロックと連結することで剛性を高めたブロック。スチールベルトの上にフルバンドを重ねた内部構造も高剛性化に貢献している。
ミドルブロックにはカギ爪状のロングラテラルグルーブを配置。排水性を向上させている。
センターリブとミドルブロックの縦溝に僅かな窪みを設けることで、マッド路面でのトラクション性能をアップ。悪路走破性もATタイヤとしては申し分ないレベルだ。