「クルマは走ってナンボ」よく言われる。では走るクルマとはどんなクルマだろうか。
発進加速が鋭く速いクルマ?
コーナーリングを速く駆け抜けるクルマ?
もちろんその要素も必要だが、走りの全てを決定付けるブレーキング性能の高いクルマこそ、走るクルマと言える。
つまり「クルマは止まってナンボ」ってことである。思い通りの減速ができなければ速く走ることができないというのは、F1をはじめ、様々なスポーティーカーがブレーキングシステムの開発に莫大な投資をしていることからも容易に想像できるだろう。そしてそのレーシングシーンで培われた技術とノウハウを市販製品にフィードバックしているのが、ここで紹介するブレーキングシステムのディクセル(DIXCEL)だ。
ディクセルはスーパーGT選手権のテクニカルサポートメーカーとして知られており、パッセンジャーカーの世界では広く装着されてきたが、ここ数年で4×4車への適合車種が拡充され、現在では4×4専用モデルもラインナップされている。
ブレーキシステムのラインナップは幅広く、ブレーキローターはスリットなしのプレーンディスクローターから、溝の刻まれたスリットディスクローター、さらに各々焼き入れ処理の施されたヒーテッドディスクローター等々、パッドに至ってはストリートからワインディング、サーキット向けなどに10数種類がラインナップされており、さすがブレーキ専門メーカーといったところだ。
そこで今回は、スタッフカーのジムニーJB23にディクセルのスポーツパッドとスポーツローターを装着することにした。
ストーリートユースとしてリリースされているパッドは、ダスト超低減パッドの「M type」、大口径ホイール装着車や重量ボディーに向いた制動力重視の「X type」、エコノミーな「EXTRA Cruise type」、価格と性能を両立させた「Premium type」、そして4×4専用の「Premium for 4WD type」がラインナップされているが、既にスタッフカーにはスリットディスクローターSDとのセットでEXTRA Cruise typeパッドが装着されているため、ワンランクアップの「Premium for 4WD type」をチョイスしてみた。ディスクローターは、スリットディスクローター「SD」の持つ効きの良さを失い難いため、同モデルを踏襲することとした。
「Premium for 4WD type」のスペックは、制動力、耐フェード性、耐摩耗性、ダストの少なさ、鳴きの少なさなど、どれもノーマルパッドを凌駕する優等生タイプだ。使用適正温度域は0~450℃と幅広く、尖ったレーシングパッドのような走り始めの効きの悪さは心配ない。またパッド表面のサーフィスコーティングが使用課程にあるローター表面の凸凹を均一に平すため、パッド組み込み後の初期馴染みが早く、ローターのメンテナンスも同時にできるというのもポイントが高い。
パッドはバックプレートが存在感を誇示するゴールド塗装タイプと異なり、ブラック仕上げにDIXCELのホワイトロゴが配されたシックなもの。パッド表面は赤くザラつき感の高いサーフィスコーティングが施されており、その効果を期待させてくれる。
さっそくJB23に組み込むため、過去に装着したディクセルのローターとパッドを外したが、交換後3万km以上走行しているにもかかわらず、どちらもほとんど摩耗していない。主にストップ&ゴーの多い首都圏を走行していたことを考えると、この耐摩耗性は驚きである。
組み込み後、慣らしのために数度ブレーキングをするが、瞬く間に制動力が向上して行くのが体感でき、フルブレーキングではABSも作動させられるほど。パッド交換後の車検ラインで充分な制動力を発揮させることが求められる、車検時交換用パッドとディクセルが勧めるだけのことはある。硬さのないブレーキタッチはごく自然に必要な踏力をローターに伝えられるうえ初期制動力も高いため、ノーマルパッドから交換した際はこれまでより軽い踏力で充分な制動を得ることができる。
気負うことなくスポーツブレーキシステムを装着でき、それを使っていることさえ忘れさせてくれる自然なフィーリング。それでいて高い制動力と耐フェード性、そして耐摩耗性が与えられた「Premium for 4WD type」。スリットディスクローターと共に装着することをお勧めしたい逸品だ。
4×4専用品として開発されたPremium for 4WD typeは、一般使用温度域を重視した0~450℃が適正温度。低価格な設定としたプレミアムなスポーツパッドだ。
スリットディスクローターSDは、片側にスリットが6本入れられたモデル。スリットは鳴き、摩耗、ガス除去などを考慮し最適な本数が与えられている。
スリットは表裏オフセットして刻まれ、ブレーキングジャダーの発生を抑制している。なお回転方向は摩擦係数を高めるリバース回転となっている。
ストッピングパワーを重視したいというユーザーにはX typeがお勧め。ディクセルではフロントにX typeを装着したリアドラムブレーキ車の専用品としてRGX typeもラインナップしている。前後バランスを最適化することで、パッドに持たされた本来の実力が発揮できる。
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