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APIO TS3 × ノーマル「サスペンション」比較

2018.05.27
APIO(アピオ)

サスをいじると何が変わるのか
ノーマル車とTS3を比較試乗

志向別、目的別にさまざまなタイプのカスタマイズをスズキ・ジムニー(JB23W)に施し、「10年後を後悔しない」という明確な共通コンセプトのもとに展開しているアピオのコンプリート・ジムニー TSシリーズ。
 
今回ノーマル車両との比較試乗に持ち出したモデルは、見た目は限りなくノーマルに近い「TS3」だ。
文章:内藤知己/写真:佐久間 清人

 


車高アップ20mmのサスペンションと
ステージに合わせた減衰力調整が可能
TS3(20mmアップ)の外観はほぼノーマルと変わらず、タイヤ&ホイール、マフラー、牽引用フック等でその違いが分かるレベルのカスタマイズであり、ジムニーの外観を大きく変えたくないオーナー向けのモデルと位置付けられている。
 
一番のキモであるサスペンションは、わずか20mm車高アップ仕様ということで、下まわりを覗き込むか、写真のようにノーマル車と並べて比較でもしない限り見分けが付きにくい。
 
コイルスプリングは「スーパーつよし君A2000SA-20」、そして減衰力を14段階に切り換えられる「N8ショックアブソーバー」の組み合わせだ。
 


まずはショックの減衰力を前後とも7に設定して高速道路を走ってみる。TS3はオフロード用のタイヤを履いているため、ノーマルのオンロード用タイヤに較べて走行ノイズはやや高め。しかし、乗り心地はノーマルよりもコシがあり、しなやかさはそのままに、しっかり感のある乗り味。直進性も問題ない。もちろん、ショックの減衰力をこれより高くも低くも設定できるので、乗車人数や積載量に合わせて好みの硬さに調整することも可能だ。
 
このショック減衰力切り換えは、簡単なダイアル操作で行えるので、路面状況に合わせてその都度調整でき、その効果が分かりやすいこともメリットのひとつと言える。
 


以前、アピオの尾上会長がテスト走行がてらプライベートで長野方面へドライブに出かけた時、トイレ休憩の際にこのショックの減衰力をソフト寄りに切り換えたところ、再度走り出したとたん、切り換えたことを知らない助手席の奥さんが「あら!? さっきよりずいぶん道が良くなったわね」と発言した…というエピソードを聞いた。
 
素人がごく自然に乗り心地の良さを感じ取れる脚まわり…であることも高ポイントだが、減衰力切り換えによる違いが明確に体感できることで“カスタムの愉しさ”も堪能できるのは大きな魅力である。
 


オンでもオフでも違いは歴然
行動範囲を拡げてくれる脚
タイトコーナーが連続するワインディングでは、さらにこの脚の良さが際立ってくる。減衰力を前後とも10に切り換え、コーナーへ。
 
もともと車高アップ量が約20ミリと控えめなので感覚的にも腰高感がなく、重心の高さもノーマルとほとんど変わらないため、コーナリングに不安感はない。減衰力を高めに設定しているので、よりタイトな脚になり、ロールの収束も早いので楽しく運転できる。
 
そして、楽しいと言えば、やはりオフロードカーとして高いレベルの素質を持つジムニーならではのステージでも、このサスペンションは楽しませてくれた。
 
セッティングの仕様から考えれば、オフロード性能よりも高速道路や街乗り、つまり普段使いを重視したサスペンションと言えるが、試乗ルート途中で立ち寄ったオフロードコース(山梨県・富士ヶ嶺オフロード)のモーグルセクションに乗り入れてみた。
 
TS3はオフロードタイヤ(ジオランダーMT)を履いているため、グリップ確保の面では有利だが、タイヤサイズはノーマルと同じなので最低地上高は同じだ。
 


しかし、ここではサスペンションによる20ミリの差はけっこう頼もしく、ホイールストローク量でもTS3が明らかに有利。同じ走行ラインを走ると、ノーマル車はタイヤがすぐに空転し出すため苦労したが、路面追従性の高いTS3の脚はスイスイとモーグルをクリアしてくれた。
 
オンロードでの快適性を重視しながらも、オフロードでもジムニーの性能をキッチリ引き出す…アピオTS3の20mmアップ・サスペンションは、そんな脚だ。
 
この手のサスペンションチューニングにありがちなリスク、例えば、ある特化した性能を得るために何かを犠牲にする…といったトレードオフ的なリスクがなく、ノーマルと比較してみて「失うモノがなく、メリット多数」という点においても、このTS3の脚は非常に魅力的だ。
 
また、ガード類などクロカン装備を充実させて、ここからさらにクロカン仕様に振ることもできるし、タイヤの選択でオンロードをより快適にすることも可能であり、そういう意味でTS3は拡張性も高く、フレキシブルなコンプリートカスタムと言えるだろう。

 


A2000 SA-20コイル+減衰力14段階調整式ROADWINショックアブソーバーN8を組み合わせた20mmアップ・サスペンション。
オフロード以外でも実用的な牽引フック(黄色)も装備。
 


リアサスもA2000 SA-20コイル+減衰力14段階調整式ROADWINショックアブソーバーN8の組み合わせ。
静香御前マフラーも標準装備だ。
 


タイヤは175/80R16サイズのGEOLANDAR M/T+を装着。加速フィーリングや瞬発力をスポイルせず、本来のパフォーマンスを発揮させられる。
アルミホイールは質実剛健なスチールホイールを思わせる造形のワイルドボアSR16をチョイス。
 
<お問い合わせ>
アピオ http://www.apio.jp/