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ジオランダーA/T-S

2017.04.25
YOKOHAMA(横浜ゴム)タイヤメーカー

世界基準の耐久性が与えられたマルチパーパスタイヤ

ジオランダーファミリーの中で
最も高い人気を誇るタイヤ、それがA/T-Sだ。
末尾のSはスポーツではなく「セカンド」の頭文字。
ジオランダー第二世代のA/T、という意味だ。

この第二世代は劇的に進化していた。耐摩耗性が従来モデル比で48%の向上。一気に倍近い距離を走れるようになった。ではトレッドゴムが硬くなってグリップ性能が落ちたのか、と言えばさにあらず、ウェット制動、ドライ制動ともに向上、静粛性や耐ハイドロ性も良くなった。

開発のキーワードは「グローバルスペック」。日本とは年間の走行距離が大きく異なる北米はもとより、増え続ける海外需要の中であらゆる気候、あらゆる路面状況に対応するために、耐摩耗性や耐久性を追求。実車による耐久テストは日本、北米、オセアニア、中東、欧州、東南アジア、アフリカの各地域に及び、のべ100万キロに達したという。ここだけの話、ラインナップ中最もワールドワイドに、最も贅沢な開発体勢で造り上げた “渾身の1本” がA/T-Sと言えるのだ。

ひと口にオールテレーン(全ての地形を相手にする)タイヤと言ってもその味付けは様々。オン寄りなのかオフ寄りなのか、ウェット重視か静粛性重視なのか、メーカーの数だけ異なるタイヤが存在する。近年の国産オールテレーンは、よりオンロードの快適性を求める傾向が強かったが、水気を含んだ土の坂道を全然登れなかったり、フルロックの急制動でブロックの損傷が激しかったりと、あまり満足の行くものがなかった。そしてジオランダーの先代モデルもオンロードやダート路のグリップ力こそ優れていたものの、減りが早いのが残念だった。

ところがA/T-Sは違った。目指す次元が「世界レベルの耐久性」だったことに加え、ジオランダーの伝統であるオフロード性能をしっかり組み入れて来た。時代はオンロードへシフトし始めていたが、開発陣はオフロードを忘れなかったのだ。
この思想がA/T-Sに素晴らしい個性を与えた。耐久性はニッポンでは「有りすぎ」と思えるほど。オンロード性能や快適性は必要にして十分、オフロード性能はライバルの中でも頭ひとつ抜きんでた仕上がりとなったのだ。

ダートでは操りやすく、安全で、楽しい、と三拍子揃った走り。水を多量に含んだ土の路面など、やっかいな場面でもM/T+ほどではないにしろ頼りになる性能を発揮。雪も降り始めの積雪路ではある程度の走りが可能。高速道路ではM+Sタイヤの走行が許される第一次チェーン規制までなら対応可…と様々な領域で走りのフィールドを広げてくれる。それが、がこのタイヤの魅力といえるのだ。

今や本格クロスカントリー4×4ですらオンロード用タイヤで販売される時代だ。でも、四駆とはもともとマルチパーパスなクルマだった。そこに本来備わっている「マルチな走り」を引き出したければ、これほどピッタリ来るタイヤはないと思う。


第二世代になってよりシャープな顔つきに生まれ変わったA/T-S。フラッグシップのM/T+よりは大人しいが、純正オンロードタイヤに比べれば遙かにアグレッシブな表情。タイヤの肩口(ショルダー)から横っ腹(サイドウォール)にかけてブロック状のプロテクターがあり、横から見ても力強い造形だ。


良好な排水性を予感させる4本の深い縦溝。シー/ランド比(トレッド全体に占める溝の割合)は42%。各ブロックは一見ランダムに配置されているように見えるが、土に爪を立てたり、詰まった土を排出しやすくするために、様々な工夫が施されている。サイプを工夫してブロック剛性を確保しているのもA/T-Sの特徴だ。


サイドウォールに配されたブロック状のプロテクター。オンロード用タイヤより遙かに強い耐カット性を発揮する。また、ホイールリムをガードするようにゴムが盛り上がっており、大切なホイールを損傷から守る役割も併せ持っている。


オン・オフ両刀遣いであるが故に、純正オンロード用タイヤから履き替えれば、見劣りする性能はないとは言えない。パターンノイズは若干大きくなり、絶対的なグリップ力も幾らか低下する。でもA/T-Sは素直で初心者に優しい造り。限界はスキール音で分かるし、その領域でも急激にグリップを失ったりすることがなく、コントローラブル。ワインディングで目を三角にしながら攻めたとしてもある程度の満足は得られるタイヤだ。そして日常生活で不足する性能はほとんどない。


ダートではグリップ力、トラクション能力、制動性に優れ、加減速のメリハリがオンロード用タイヤとはまるで違う。その気になればパワースライドも豪快に決まり、滑っている間も至ってコントローラブル。操りやすく安全で楽しい、と三拍子揃った性能だ。


水を含んでμが低くなった土の路面にも強い。ステアリングが利かないくらいツルツルな坂道でもタイヤを空転させながらトラクションを発揮して登ってしまう。その姿は他のA/Tではなかなか見られないものだ。いざと言うときに役に立つ、という意味でこれほど頼りになるオールテレーンタイヤはない。


サイズバリエーションの多さは他を圧倒する。その数およそ70種。本格クロスカントリー4×4はもちろん、コンパクトSUVにクロスオーバーSUV、輸入SUVに至るまで幅広くカバー。大径化カスタマイズやインチアップの需要にも応えている。写真は20インチのホイールをランクルに履かせた例。タイヤサイズは305/45R20(外径789mm)だ。