特に決まった何かがストレスになるってワケでもないのだが、日常がどうしようもなく閉塞感でいっぱいになってきたら、とにかく「好きなことしかやらない日」を作らなきゃ、と思ってはいた。しかし、つい最近までコレがなかなかうまくいかなかった。
判で押したような日々の仕事に限らず、朝夕地獄の満員電車、毎日大量に届く業務eメール、Facebookに義理イイね!(しなきゃ良いんだけどw)…etcにヘキエキしながらも、気分転換に、あるいは仕事以外に何か夢中になれるモノを、という思いで始めた”四十の手習い”テナーサックスと、これは銀塩の頃から続けている写真撮影。でも、実はこれも時間がないことを言い訳に、一時はカメラもサックスもホコリをかぶるというテイタラクだったのだ。
こんな状況に終止符を打ってくれたのが、最近手に入れたAPIOのコンプリートカスタムだった。
「APIOジムニーTS7」
海外ラリー参戦等でも知られるジムニー専門パーツメーカーが仕上げたカスタムカーだから、いろいろなノウハウがてんこ盛りらしいが、まず何よりこのカッコ良さにホレて購入を決めた。
そんなわけで、このTS7が相棒になってからの週末は、街を脱出してプチ逃亡をキメ込むことにしている。
待ちに待った週末。カーゴルームに楽器とカメラ、そして椅子とテーブル、簡単な煮炊きの道具を放り込み、いざ出発。行き先は未定(笑)。高速道路を走って気が向いたところで降り、あとは地図を眺めて景色の良さそうな場所に向かってみる、という無計画さだが、こんな週末の”全力失踪”にはこのスタイルがお似合いなのだ。
アグレッシブなツラ構えのオフロードタイヤを履いてるにしては、やけに乗り心地も直進性も良いこのTS7。ノーマルのジムニーより45ミリ車高が高いだけなのに、えらく景色が良い。街でも高速でも乗用車を見下ろすその車窓の景色は、それだけでも気分が良いもんだ。
高速道路をひた走り、良さげな山並みが目に飛び込んできたので、とりあえず高速を降り、山を目指す。
爽やかな新緑の香る中、エアコンOFF、窓全開でワインディングを快走し峠を越えると、起点からフラットダートの林道を発見。地図を見ると、どうにか麓の集落に抜けられそうな林道だ。
さっそくトランスファーを4×4にシフト(ボタンを押すだけだが)して、林道走行スタート。もちろん、この程度のダートなら4×2だって問題なく走れるが、滑りやすい路面では4×4の方が安定するし、燃費だって良い。何より自然に対してローインパクトだ。
新緑の静けさの中、と思いきや、カエルの大合唱に迎えられ、フィトンチッドを全身に吸い込みつつ、未舗装ながらよく整備された林道をトコトコ登っていく。趣味のサンデーカメラマンにしてはちょっと気張って買った自慢のカメラとレンズで、路傍の花や森の風景を切り取る作業は、まさに至福の時だ。
時間を忘れて撮影に夢中になりすぎ、気付けば時計の針は午後二時を回っていた。林道沿いの渓流にちょうど手頃な川原を発見したので、ここで遅めのランチタイム。林道から川原に降り、テーブルと椅子をセットするが、こんな時にも余裕で川原に降り、傍らに駐めておけるTS7…「コイツにして良かった!」と実感する瞬間だ。
“フラットダートからシティユースがターゲット”と謳われるTS7だが、ハンパなSUVでは進入不可能なこんなステージも難なくこなすところが頼もしい。
お気に入りのコーヒーを淹れ、川原でのランチを楽しんでいると、林道に今どきのクロスオーバータイプのSUVを置いて徒歩で降りてきた渓流釣りのおじさん達が声をかけてきた。 「すごいな、クルマで降りて来たんか。これは外車かい?」と聞かれ、思わず苦笑。ニッポンが誇る軽4×4であることをちょっと得意になって伝えると「ホー、軽なのかい」としきりに感心してる様子。TS7にして良かったと再度実感する。
思いがけず居心地の良い川原を発見してしまったおかげで少々長居をしてしまったが、ささやかなランチを終え、再び林道をたどる。いつの間にかカエルたちの合唱も消えている。
しばらく走ると突然前方の視界が大きく開けて、樹木のない禿げ山が現れた。振り向いてびっくり、”超”が付く絶景だ! かまわずどんどん登っていくと、やがて360度の大パノラマが眼前に拡がった。
よし、ここで日没を待とう…そう決めて三脚を降ろし、西の空に向けてカメラのセッティングを済ませる。
新緑の葉をそよがせる初夏の風が何とも心地良い。ジムニーを選んでいなければ絶対に経験できなかったシチュエーションである。 気付けば、今日はまだ一度もスマホの画面を見ていない。下界のことなんかどうでもよくなる圧倒的な大空。雲はゆっくりゆっくり流れていく。
今日はもうこの絶景を相手に、写真に専念しようと思っていたが、ふと「ここで吹いたらどんなに気持ちいいだろ?」という思いに駆られ、サックスを取り出した。誰も見てないことを良いことに、思うがままのフリーセッション。いつものカラオケBOXで他の客に嫌がられながらの練習とは違う、至福のとき。
APIOジムニーTS7が実現してくれた充電ならぬ魂の放電(ちょっと大袈裟か)に大満足の週末。スマホとPCの電源を切って敢行する究極のプチ逃亡…、
近頃煮詰まり気味のアナタにぜひオススメしたい。
文/内藤知己 写真/山岡和正
【APIOジムニーTS7】 ジムニーJB23-XG(MT車)ベース TS7仕様価格:¥1,658,300~ (+税)
【TS7 標準装着パーツ】 スーパーつよし君銀八サスペンションキット 静香御前マフラー タクティカルフロントバンパーガーニッシュ フロントセンターバンパー リアFRPバンパー スペアタイヤ一本背負い&ナンバー移動キット フロント牽引フック(右) リア牽引フック(左) アルミホイール WILDBOAR X(4本) タイヤ アピオ取扱ブランドより 185/85R16(4本) ドライブレコーダー